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香川真司 9年前

香川のHSV戦先制点演出は死闘での“経験”から。意識高いドルトはEL敗退ムード払拭、視線は既にポカール奪取へ

text by 本田千尋 photo by Getty Images

悲劇的逆転負けを喫したリバプール戦から得たものとは?

 その言葉通り、香川はトップ下で積極的なプレーを見せる。ボランチのシャヒンとギュンドアンが質の高いパス回しを見せていく中で、香川も安定してボールを繋いだ。22分には、少し下がって、ギュンドアンとカストロとのパス交換から右のギンターに散らすと、すぐに前に上がって、相手のCBとボランチの間でシャヒンから縦パスを受ける。

 ターンしてカストロに繋いで、バイタルの狭い局面でもボールを失わずに、チャンスを演出した。

「インテンシティも含めて、リバプール戦を戦ったら逆に、こっちの試合の方が、ちょっとプレッシャーも含めて弱く感じるところはある」

 リバプール戦のようなインテンシティの高いゲームを経験した後では、もちろん相手の出方にもよるが、香川には余裕を持ってプレーできたところもあったようだ。そういった意味では、劇的な敗戦も無駄ではなかったということだろう。

 アンフィールドでロブレンやサコといった屈強なCB、ミルナーやチャンといった中盤の猛者と渡り合った経験は、確実に香川の中に蓄積されているのだ。

 HSV戦に入る上で意識した「ハイテンション」と、リバプール戦で得た「経験」が相まって、香川のプレーは、38分に先制ゴールへと繋がる。

 右のショートコーナーから、香川が、エリアのわずかに手前のフンメルスに入れる。フンメルスはダイレクトでプリシッチへ。最後にプリシッチがニアサイドを打ち抜いた。1-0。

「先制点はとても重要だった。僕らをメンタル面で楽にしたからね。それからは僕たちがゲームを支配した」

 そうカストロが振り返るように、以降はドルトムントのペースで試合が進んだ。

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