「勝ち抜けが決まったと思った」(フンメルス)
48分にオリギに1点を返されたが、57分には、フンメルスのスルーパスに左サイドから抜け出したロイスが、冷静に流し込んで再びリードを広げる。3-1。ドルトムントは3つ目のアウェイゴールを奪う。残り30分と少しで、リバプールは同点に追い付くだけでは足りず、勝ち抜けには3ゴールを取る必要があった。
だから、フンメルスが「3-1にした時点で僕たちは勝ち抜けが決まったと思った」と振り返るのも無理のないことだ。そしてBVBの主将は「僕たちはアグレッシブに守備をするのを止めた」と付け加える。
それは慢心の一言で片付けられるものでもないだろう。後半に入れば、前半に比べて運動量が落ちてバイタルにスペースが生まれるのは、ドルトムントも他のチームと変わらない。準決勝の進出を掛けたリバプール戦のような、消耗の激しい試合ではなおのことである。
次第にバイタルでリバプールに前を向かれる場面が増えてくる。66分には、エリアの手前でミルナーとのワンツーからコウチーニョにミドルを打ち込まれる。3-2。68分にも、カウンターからオリギに前を向かれて、ミドルシュートを打たれる。3-1のときは安泰のようだった勝利も、3-2にされた途端に分からなくなる。
そして77分、リバプールのCK時に、香川に代わってギンターが入ると、サコにヘッドでねじ込まれてしまう。3-3。選手交代によって、セットプレー時の守備に一瞬の隙が生じた。
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