「金だけで勝利を買えるわけではない」(ペトロヴィッチ監督)
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は終始落ち着きのない様子で、杖をついてテクニカルエリア付近をよろめきながら、選手たちに指示や激励を飛ばしながら試合の大半の時間を過ごしていた。だがタイムアップの笛が鳴ると痛みもどこかへ消え去り、杖を空中へと振り上げて勝利を喜ぶ姿を見せた。
浦和レッズの指揮官は、この勝利とこの勝ち方がクラブにとって非常に大きなものであることを理解していた。おそらくは、2012年のシーズン開始前にチームの指揮を引き継いで以来最大の勝利だった。
現アジア王者である広州恒大を1-0で下してACL決勝トーナメント進出に大きく近づいたということだけでもないし、広州を敗退に追い込めることが濃厚になったというだけでもない。自信と積極性と情熱のこもった戦いでそれを成し遂げたことに意味がある。
「日本に来て10年間、数多くの試合を見てきたが、これほど良い試合を目にすることは滅多にない」とセルビア人監督は試合後に感情をあらわにしていた。
「金だけで勝利を買えるわけではないと証明できたことが非常に大きい。広州にはビッグネームの外国人選手たちがいるが、それでも我々は必死に戦って彼らを破ることができた。背中をかなり痛めているのだが、今日はそれさえも忘れることができた。それだけ試合に入り込んでいたということだ」
決勝点を奪った武藤雄樹は試合後に、決勝戦のつもりでこの試合に臨むようペトロヴィッチ監督から要求されていたと語った。もちろん常套句ではあるのだが、選手たちはまさにその言葉をそのまま受け止めていたようだったし、実際にそれほどの試合だった。大陸最高のチームを下したのだから、もうどんな相手であれ恐れる必要はないはずだ。