休養充分。鍵を握るスアレスの存在
とはいえ、アトレティコに勝算が全くないかというと、そうでもない。アトレティコはバルサと今季3戦3敗ながら、内容的には拮抗。2戦目と3戦目に関しては退場者が出るまでは優勢に進めていた。
さらに、現在バルサは絶不調にある。リーガエスパニョーラでは第31節レアル・マドリー戦と第32節レアル・ソシエダ戦で連敗。特にネイマールとメッシが低調なパフォーマンスを続けている。アトレティコはリーガで今季32試合16失点とリーグNo.1の守備力を誇っており、100%の状態にないMSNを完封する力は十分にある。
今季の3試合、特に退場者を出して敗れた直近2試合ではゲームプランの面では確実にバルセロナを上回っていただけに、この2ndレグでは90分間を11人で戦いきることができれば逆転の可能性は充分にある。
バルセロナにとっては、勝ち抜けを決めるためにもスアレスの活躍が不可欠。ソシエダ戦は累積警告による出場停止となりチームは敗れたものの、逆にスアレスが休養できたという意味ではプラスともとれる。
互いにプラスもマイナスも存在するこのカード。ベスト4進出の可能性は限りなく五分に近い。
ポゼッションのバルサと、プレッシングのアトレティコ。支配率を高めつつチャンスを作り出すバルサと、支配率とは無関係にチャンスを作り出すアトレティコ。正反対のスタイルを最大の武器とするスペイン対決は、サッカーというスポーツのありとあらゆる要素が詰まった一戦となる。
(文:海老沢純一)
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