UAEとカタール、強力な中東資本を得た両チーム
この大一番に万全の状態で臨めるのは、やはりアウェイのPSGだろう。すでに史上最速でのリーグ1優勝を決めているPSGは、直前のリーグ戦でギャンガン相手に先発7人を入れ替えて2-0で勝利する余裕を見せている。
攻撃の要であるイブラヒモビッチやエディンソン・カバーニ、守備の中心であるチアゴ・シウバら主力は揃って温存。来たる大一番では休養十分で挑んでくる。
だが、ブレーズ・マテュイディとダビド・ルイスが出場停止、ハビエル・パストーレとマルコ・ヴェラッティが負傷のため欠場となる見込みとなっている。特に豊富な運動量で攻守に奔走できるマテュイディは相手にとって脅威となる存在だけに、ローラン・ブラン監督は中盤の構成に頭を悩ませることになるかもしれない。
それでも、国内リーグ優勝を決めてCLに100%集中できるPSGに比べ、シティは来季のCL出場権内となる4位争いの真っただ中におり、周囲の結果にも一喜一憂している状況下にある。
クラブ史上初のベスト4進出を目指すシティと同じく初の優勝を目指すPSG、どちらも懸ける意気込みは強いはずだが、そういった背景の中で両チームともCLへのモチベーションがどれだけ発揮できるかが注目のひとつとなる。
近年、この2チームは急激な成長を遂げている。数年前までCLベスト8到達は夢のまた夢だった両チームだが、シティはUAE、PSGはカタールの中東資本を得て一躍国内リーグを席巻。欧州トップ4の座に王手をかけた。
「お金でタイトルを買うことはできない」とはフットボールの世界でしばしば聞かれる常套句だが、彼らは豊富な資金力でわずか数年でビッグクラブに肩を並べる存在に登りつめている。強欲なまでに自らの野望を遂げようとする両雄だが、彼らがその歩みを止めることは決してない。
たとえ、“大きな耳”を手に入れて世界中から羨望の声を聞くことになったとしても。
(文:今関飛駒)
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