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大久保、神様が微笑んだ159点目。奇跡の決勝弾に「何であそこにいたのか…」

text by 編集部 photo by Dan Orlowitz

大久保嘉人
大久保嘉人【写真:ダン・オロウィッツ】

 明治安田生命J1リーグ1stステージ第6節が10日に行われ、川崎フロンターレはサガン鳥栖に1-0で勝利した。

 スコアレスドローで終わるかに思われた後半アディショナルタイムの94分、川崎Fの千両役者が大仕事をやってのけた。大久保嘉人は小林悠のクロスに完璧なタイミングのヘディングで合わせ、J1歴代最多の通算159得点目を記録している。

 本人は記念すべきゴールを「何で俺もあそこにいたのかわからない」と振り返る。クロスを上げた小林も中を水に感覚で左足を振り抜いており、まさしく奇跡の1点だった。川崎Fは序盤から決して流れの良くない中で耐える展開で、ひとつのゴールに懸ける気持ちの強さは並大抵ではなかった。

 特に大久保は前半からミドルシュートがクロスバーに阻まれ、終盤にはヘディングシュートを立て続けにミスするなど運にも見放されていた。両足がつって満身創痍なうえ、その記憶がありピッチ内では「顔面でもどこでもいいからふかさないように当てよう」と、最後のワンチャンスに強い思いを乗せていた。

 もし自分が得点できなければ「ずっとなんて謝ろうかと思っていた」という。だが勝利の女神は大久保と川崎Fに微笑んだ。

「FWってそういうものですよね。地獄に落ちるか天国にのぼるか紙一重なところなので、それを味わえたというのはよかった。今日は天国でしょ。地獄から這い上がりましたよ」とベテランストライカーは歴史的偉業にも飄々としている。

 大久保はもうすぐ34歳を迎えるが、ゴールへの意欲に衰えはない。「必死にやってきました。それが今の結果につながっていますし、まだまだ点を取りたい、うまくなりたいと思えている」と4年連続のJ1得点王だけでなく、通算得点記録の大幅な更新に燃えている。

(取材:ダン・オロウィッツ)

【了】

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