アセアン経済共同体が発足、アセアン枠に弾みか
折しも東南アジアでは昨年末にアセアン経済共同体(AEC)が発足した。簡単に言えば、アセアン加盟10ヶ国間で人、もの、金の動きを活発にし、より経済的な統合を深めていこうという取り組みだ。現状、課題は山積みなのだが、様々な面で東南アジアが結びつきを強めようとしていることは間違いない。
かつてタイではアセアン枠について議論に上ったことがあった。Jリーグが提携国枠を導入したように、地域随一のレベルを持つタイでアセアン枠が創設され、東南アジア各国の選手が競い合うようになれば、よりタイのリーグに注目が集まる。実現の可能性は未知数だが、アセアンスーパーリーグが構想段階のまま進展しない中、より実現性が高い選択肢といえる。
タイでは2月にサッカー協会の会長にソムヨット・プンパンムアン前タイ警察長官が就任し、日本でもプレーしたヴィタヤ・ラオハクル氏が技術部門の責任者に就くなど協会の体制が一新された。新体制は、これまでの“タイプレミアリーグ”という名称を“タイリーグ”へと変更、運営会社も新しく設立した。これは前運営会社の株式の多くをウォラウィ・マクディ前会長が握っていたためとも言われている。
改革に大鉈を振るったリーグは開幕が1週間遅れ、地域リーグにあたるディビジョン2に至っては会長選前から一部チームが開幕を拒否するなど混乱が発生。結局、新体制下で地域分けからやり直され、1ヶ月以上開幕が遅れた。
タイのサッカーにとどまらずタイという国そのものが今、新たな局面を迎えようとしている。その先に、悲願のW杯出場が結実するのか。最終予選は9月から始まる。
(文:長沢正博【タイ】)
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