指揮官のリスク回避で香川に出番は訪れず
同じ1-1でも、アウェイゴールを奪われているのであれば、BVBはリバプールに比べれば不利な状況ではある。しかし76分に、トゥヘルはオーバメヤンに代えてプリシッチを、ベンダーに代えてソクラティスを投入した。
既に後半開始時には、ドゥルムに代えてシャヒンを投入している。つまり最後の交代枠で、ボランチが本職でCBを務めていたベンダーに代えて、CBが本職のソクラティスを入れた。守備の安定性を重視した。
1-1で終えた後で、トゥヘルは「2ndレグに道は開かれている」と振り返っている。トゥヘルはこれ以上の失点を避け、リスクを負って1stレグで勝負を決めに行くよりは、2ndレグで決着を付けることを選んだようだ。
だから、今回のリバプール戦で、香川真司に出番が訪れなかったとも言えるだろう。香川はリバプール戦の90分間をベンチで過ごした。2日のブレーメン戦では1-1の状況で香川に出番が回ってきたが、1試合毎の勝ち点を争うリーグ戦とは違い、ELの決勝トーナメントはホームとアウェイの2試合を終えた後の合計スコアを争うものだ。
もし1stレグで1-2という状況であれば、まだ分からなかったかもしれない。しかし1-1であれば、そのままでも「2ndレグに道は開かれている」。無駄な失点を避け、無理に得点を必要としなかったからこそ、最後の交代はソクラティスで、香川ではなかった。
次戦は、10日のブンデスリーガ第29節、シャルケとのレヴィア・ダービーである。リバプール戦で出場がなかったが、香川には、決して集中を切らすことなく、再びの出場に向けての準備が求められるところだ。
(取材・文:本田千尋)
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