勝負を決めに行かなかったトゥヘル
監督トーマス・トゥヘルは、勝負を決めようとしなかった。試合後に「結果はオーケーだ」と振り返っている。2016年4月7日のヨーロッパリーグ準々決勝、1stレグでボルシア・ドルトムントはホームにリバプールFCを迎えた。
試合開始からドルトムントが多くのチャンスを作る。12分、フンメルスがドリブルで持ち上がって、エリア内のムヒタリアンにパス。トラップが流れてしまい、ミニョレにキャッチされる。
17分には、シュメルツァーの折り返しをエリア内でムヒタリアンがシュート。サコがブロックしたボールをバイグルがシュートを打つが、ミルナーに阻まれる。
リバプールは、これまでELの決勝トーナメントで対戦したポルト、トッテナムに比べるとインテンシティの高い相手だった。積極的にプレスを掛けてくる。トゥヘルが「正確性を欠いていた」とも振り返ったように、ドルトムントのパスがずれることもあった。それでも奪われれば奪い返して、BVBはチャンスを作っていった。
こうして前半は、ドルトムントが比較的優勢に試合を進めたが、先制したのはリバプールだった。36分、モレノからのボールをミルナーがフリック。抜け出したオリギがゴールを決める。0-1。
後半に入るとすぐにドルトムントが同点に追い付く。48分、ショートコーナーから、ムヒタリアンがゴール前に入れたボールを、フンメルスが頭で合わせる。1-1。
51分過ぎのリバプールの猛攻をバイデンフェラーがビッグセーブを連発して防ぐと、65分頃からリバプールは少し重心を低くする。アウェイゴールを奪っていることを考えれば、1-1でも構わないと敵将ユルゲン・クロップは判断したのかもしれない。
そのまま1-1で終えると、試合後には「だいたいにおいて私はとても満足している」と振り返っている。そして、それはトゥヘルも同様のようだ。