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日本代表 9年前

ハリルJに漂う“内田ロス”。W酒井が内田篤人を超えるために必要なこと

text by 元川悦子 photo by Getty Images

ハリルも望む内田の復帰。重要なのは全体のレベルアップ

 確かに以前のような不安定さは見られず、守備面でも間一髪のところで体を張ったブロックを見せるなど、前進した印象は残してくれた。しかし、以前からの課題であるクロスとフィニッシュの精度はまだまだ。そこは内田に比べるとやはり見劣りする部分だ。

 宏樹・高徳ともにドイツでコンスタントに試合出場していれば、無難なプレーは十分できる。ただ、内田のような絶妙の攻守のバランスと気の利いたポジショニング、攻撃面での圧倒的な存在感はやはり示せていない。加えて世界トップクラスの国際経験値も内田には及ばない。W杯のようなハイレベルな戦いを見据えると、不安が残る。

 だからこそハリルホジッチ監督も内田に強くこだわっているのだ。2人の酒井が目の前に直面している課題をきちんとクリアしてくれれば、最終予選で内田不在問題が再燃しなくて済む。またW杯に向けての不安材料も減る。彼らが半年間で飛躍的成長を遂げてくれればいいのだが……。

 2人が物足りないとなると、右サイドに長友を回し、左に藤春廣輝(G大阪)ら新たな戦力を入れるといったイレギュラーな形を摸索する必要性も生じてくる。そうなるとチームバランスが崩れる恐れもあるだけに、やはり酒井2人に託される責任は重い。

 そこをしっかりと認識したうえで、彼らには最終予選までの時間を過ごしてもらいたい。内田が復活したときに、すぐに彼がポジションに復帰するのではなく、厳しいレギュラー争いとなる――。そうなることこそが代表全体のレベルアップにもつながるのは間違いない。

(文:元川悦子)

【了】

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