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日本代表 9年前

リオ五輪予選を経た植田直通の変化。「強い相手とやりたい」。更なる強敵を欲する飢餓感

鹿島アントラーズのU‐23日本代表DF植田直通の存在感が際立っている。ファーストステージの5試合を終えた時点でリーグ最少の2失点に貢献している21歳は、ロンドン五輪の覇者・メキシコから白星をあげた3月下旬のポルトガル遠征で物足りなさを覚えながら、アントラーズにおける結果と自らをさらに成長させる強敵を求めてキックオフの笛を待ち続けている。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

ターニングポイントとなったリオ五輪最終予選

U-23日本代表の植田直通
U-23日本代表の植田直通【写真:Getty Images】

 鹿島アントラーズの最終ラインにそびえるU‐23日本代表DFの植田直通はいま、不思議な感覚のなかでプレーしている。

「どの試合に出ても、余裕をもって前が見えていると自分でも思っている」

 視覚を通して飛び込んでくる情報の、量も質も変わった。簡単に言えば、自身の目に映るピッチ上の光景が変わったと感じたのは今年2月に入ってからだった。

 ターニングポイントには当たりがある。今回ばかりは無理だろう、という芳しくない下馬評を鮮やかに覆し、リオデジャネイロ五輪切符に23歳以下のアジア王者の肩書を添えるまでの約1ヶ月間の日々だ。

 U‐23アジア選手権が開催されたカタールへ飛び立ったのが1月2日。文化も習慣も気候もまったく異なる地で、決勝までの6試合のうち、延長戦ひとつを含む5試合、計480分に先発フル出場を果たした。

 そのなかには自ら叩き込んだゴールを死守した北朝鮮代表とのグループリーグ初戦もあれば、後半アディショナルタイムの劇的なゴールで難敵イラク代表を下し、リオデジャネイロ行きを決めた準決勝もある。

 2点のビハインドを背負いながら決して下を向かず、チーム一丸となって逆転勝利をもぎ取った韓国代表との決勝を含めて、すべての瞬間が血肉になったと植田は振り返る。

「やっぱり最終予選。あの試合を戦ってきたことで、余裕ができたのかなと思います」

 コメントのなかに出てくる「余裕」を「自信」に置き換えても、意味は十分に通じるだろう。深夜の羽田空港に凱旋帰国した1月31日。肉体的にも精神的にもすり減っていた状態を心配したアントラーズのスタッフに、植田はこんな言葉を返している。

「オフはいりません。自分は若いので、休む必要はないと思っています」

 言葉通りに、一夜明けた2月1日にはアントラーズがキャンプを張っていた宮崎へ移動。2日にはロアッソ熊本とのニューイヤーカップに途中出場している。おそらくはこのときから、自身が抱く感覚の変化に気づいていたはずだ。

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