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レアル“完敗劇”の理由は? 長所を抑え短所を突いたヴォルフスブルクの完璧なる戦略

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

「打たせる守備」を敷いていたヴォルフスブルク

 もちろん、マドリーを相手ということもある。世界最高クラスのアタッカーを揃えた前線に対抗するにはヴォルフスブルクに限らず多くのチームが守備を第一に考えなければならない。ただ、マドリーの攻撃の真髄はカウンターにこそある。

 そしてそのマドリーのカウンターはアンカーのカゼミーロを中心とした中盤の守備によってスタートする。ヴォルフスブルクの守備組織は、そのマドリーのカウンターを阻止することを前提としたものだった。

 ヴォルフスブルクが繰り出したタックル数は14回。そのうちマドリーの中盤の選手に対するタックルはギラボギがクロースに仕掛けた1回のみ。中盤のギラボギは主にベイルやロナウドを潰しにかかっており、チーム全体がサイドの守備を固めていた。

 前述したように、この試合のシュート数は10本:21本。しかし枠内シュートに限るとヴォルフスブルクが6本でマドリーが3本。つまり、ヴォルフスブルクはベナーリオという優秀なGKを中心に「打たせる守備」を敷いていた。

 また、マドリーは中盤の3人が攻守のバランスを取りつつ全体をコントロールするスタイルだが、中盤での競り合いが少なくスペースを得たため、カゼミーロを含めて攻撃に比重を置く展開となった。こうなると一転してヴォルフスブルクがカウンターに転じた際にマドリーの中盤の守備は後手を取られることとなる。

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