スタッツではマドリーが圧倒も…
サッカーでは、必ずしもボールを持っているチームが勝つとは限らない。重要なのは戦略。支配率が低くても、決定機の数が少なくても、戦略で上回ることができれば戦力差をも覆して勝利を手にすることができる。それを証明したのがヴォルフスブルクだった。
ヴォルフスブルクは、ホームのフォルクスワーゲン・アレーナにレアル・マドリーを迎えた。一方はCL決勝トーナメント初進出のクラブ、もう一方はCL歴代最多10回の優勝を誇るクラブ。2クラブ間の差は埋めきれないものかと思われた。
試合が始まれば、主導権を握ったのはやはりレアル・マドリー。開始早々にクリスティアーノ・ロナウドがDFラインを抜けてシュートを決めるもオフサイド判定。ゴールとはならなかったが、この先のゴールラッシュを予感させる流れに思われた。
しかし、結果は全く異なるものだった。ヴォルフスブルクの2-0。過去のデータを参照すれば、1stレグをホームで戦ったチームが2-0で先勝した場合の2試合合計勝敗は18勝2敗。確率で言えば、実に90%に達する。
なぜヴォルフスブルクが勝利をつかむことができたのか。それは、マドリーの弱点を的確に突いたディーター・ヘッキング監督による戦略にほかならない。
まず、この試合のスタッツを見ると支配率41.8%(ヴォルフスブルク):58.2%(マドリー)、パス本数428本:643本、成功本数342本:569本、チャンスメイク数8回:14回、シュート本数10本:21本。多くの点においてアウェイのマドリーが上回っていた。
そもそもヴォルフスブルクの今季の平均支配率は57%。決してポゼッションの低いチームではない。しかし、この日は後方にブロックを作ってカウンターを狙う戦略を立てた。