西川が語るサポーターの存在
浦和は今季、これまでの失敗を活かしながら2007年以来となるアジア制覇に向けての挑戦を続けている。「サポーターの声援が、特に後半いつもよりすごく大きいなというのは感じました」と話したのは西川。選手だけではなく、ACL優勝はサポーターにとっても大きな夢なのだ。
思えば、今のメンバーで2007年のACL優勝をピッチで経験した選手は阿部勇樹と平川忠亮のみ、最後の決勝トーナメント進出となった2008年も含めれば梅崎司の3人しかいない。多くの選手にとって、グループステージを突破すれば浦和では初めての経験となる。
「このチームはアジアを獲ってるクラブで、サポーターもそれを経験している。逆に選手が経験していないことをサポーターは経験しているので、自分たちがアジアチャンピオンになれるように後押しをしてくれてると思うし、アウェイの中国でもたくさんの方が来てくれていたので、そういうところからのサポーターの方の気持ちというのはすごく伝わった。それに応えるのは結果しかないというのは選手も思っているので、結果が出ないときに悔しい思いをさせたこともありますけど、こうやって勝ってみんなで喜べたことは本当に良かったです」と西川は続けた。
浦和は、次節のシドニーFC戦に敵地で勝利すれば決勝トーナメント進出の可能性がある。つまりそれは、サポーターとの冒険がまだ続くことを意味する。
この日の埼玉スタジアムには、満開の桜が咲いていた。西川は、「充実した4月、5月にしたいですね」と笑みを浮かべた。次にホームで対戦する浦項戦が行われる頃にはその桜も散ってしまっているかもしれない。だが、赤き血のイレブンが再びアジアの舞台で大輪の花を咲かせようとする想いが散ることはない。
(取材・文:今関飛駒、取材協力:チェーザレ・ポレンギ、ダン・オロウィッツ)
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