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Jリーグ 9年前

“打たせる”守備も一つのプラン。被シュート数から見る、Jクラブの守備スタイル【データアナリストの眼力】

シリーズ:データアナリストの眼力 text by 海老沢純一 photo by Getty Images

J2、守備構築が順調な清水。厳しい状況にある山形

【図3】2016年J2リーグ第5節までの各クラブの被シュート数、失点数を図示化したもの。縦軸が失点数(上にいけばいくほど失点が少ない)、横軸が被シュート数(右にいけばいくほど被シュート数が少ない)。十字の線は平均を示す。
【図3】2016年J2リーグ第5節までの各クラブの被シュート数、失点数を図示化したもの。縦軸が失点数(上にいけばいくほど失点が少ない)、横軸が被シュート数(右にいけばいくほど被シュート数が少ない)。十字の線は平均を示す。

 次に今季のJ2に目を向けてみると、若干J1とは異なる展開となっている。図3は第5節終了時の数字を反映させたものだ。

 まず、昨季は広島とG大阪、今季の4節まででは名古屋と仙台の各2チームのみとなっている「被シュート数が多く失点が少ない」ゾーンにJ2は6チームがひしめいている。

 その中でも特に目を引くのが熊本とC大阪のポジション。開幕から好調を維持する熊本と今季こそはJ1昇格を決めたいC大阪は、被シュート数こそ平均を大きく上回るが、熊本は1失点、C大阪は2失点と安定感を発揮している。

 特にC大阪に関しては、ゴールマウスに君臨している韓国代表GKキム・ジンヒョンの存在が大きい。仮にJ1でプレーしてもトップクラスといえる能力を持つ守護神はC大阪の大きな武器となっている。

 また、昨季の降格チームを見てみると、清水が「被シュート数と失点がともに少ない」、松本が「被シュート数が多いものの失点は少ない」、山形は「被シュート数が少ないものの失点が多い」というゾーンに位置している。

 清水は今季から就任した小林伸二監督のもと、守備組織が改善されたという声もあり、開幕から6節を終えて2失点と安定している。攻撃面が大前元紀に頼る展開となっているが、チョン・テセの負傷が癒えて復帰を果たせば大前の負担は軽くなる。今後、攻撃面でも上向く可能性は十分にあるだろう。

 松本は失点数が平均よりは少ないものの、開幕から6節で6失点。山口戦での3失点が響く格好だが、元来ディフェンスのチームであり、GKにはシュミット・ダニエルを獲得しているだけにさらなる向上が期待される。1年での昇格を果たすには2014年の35失点と同等の数字を残すことが求められる。

 そして、厳しい状況にあるのが山形。山形はJ1だった昨季から被シュート数こそ減らしている傾向にあるが、失点数はJ2の今季も平均以下。開幕から6節で9失点を喫して勝ち星なしの最下位に沈んでいる。

 攻撃面でもここまで5得点と苦しんでいるだけに、まずは守備組織を向上させて勝ち点を拾わなければならないだろう。

(分析:庄司悟/文:海老沢純一)

【了】

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