レアル・マドリーに安定感を与えたカゼミーロ
ヴォルフスブルクにおいてキーマンとなるのは、やはりシュールレとドラクスラーのドイツ代表コンビだろう。
シュールレは昨季途中にチェルシーから加入して以降、レバークーゼン時代のようなパフォーマンスを見せることができずに苦しんでいた。しかし、中断期間明けの後半戦からは上昇気配。クルーゼと2トップを組んだ試合ではハノーファー戦のハットトリックを含めて4試合で5得点を記録している。
ヴォルフスブルクは1stレグがホームゲームだけに、何としても得点を奪わなければならない。今季シャルケから加入したドラクスラーとのコンビでシュールレがいかに良い形のチャンスを作れるかが鍵となる。
対するマドリーは、失意のダービーののち、クラシコを含めて5連勝を遂げているが、ジネディーヌ・ジダン監督はそのスタートとなるレバンテ戦からチームに1つの変化を加えている。
それがアンカーのカゼミーロだ。それまでジダン監督は、アンカーの役割を主にクロースに任せていた。攻撃の面では長短のパスで高い貢献度を見せていたが、クロースは守備に特徴を持つ選手ではない。
そのため、中盤の守備力に不安があったが守備力の高いカゼミーロを起用して以降は格段に中盤の安定感が増した。ポジションを1つ上げたクロースも、それまで守備へのカバーリングに時間を割かれていたモドリッチも背後にカゼミーロがいることで攻守においてプレーに余裕を取り戻している。
加えて、現在ではベンゼマ、ベイル、クリスティアーノ・ロナウドの“BBC”トリオが揃う。この3人は個々にも世界トップクラスの能力を持つが、やはり3人揃った際の破壊力は抜群。
特にベンゼマの存在感は大きく、ベンゼマのプレーはロナウドのパフォーマンスにも大きな影響を与えている。ベンゼマのキープ力、パス精度、そして決定力は代えの効かないレベルにあり、このサポートを受けたロナウドは単独でのプレーを何倍も上回る力を発揮できる。
現在、マドリーの陣容に目立ったところでの欠場者はなく、心身ともに万全の状態といえる。
ヴォルフスブルクにとってベスト8進出は快挙といえるが、ここでその挑戦が終わる可能性は高いだろう。
(文:海老沢純一)
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