バルサらしさを取り戻したSBの攻撃参加
後半の45分に入ると、アトレティコのプレス強度は大幅に低下した。彼らが仕掛ける“オールコートプレス”は、1人減れば全体にズレが生じ、残されたフィールドプレイヤー9人1人ひとりの負担は大幅に増加する。時間の経過とともに-1が-2にも-3にも加算されている感覚だろう。
こうなれば、試合はバルサのものとなる。変わらず70%を超える支配率を記録すると同時に、メッシが12回、ネイマールが10回もの1対1を仕掛けてアトレティコのゴールへと詰め寄っていく。
ジョルディ・アルバとダニエウ・アウベスのSBコンビがアトレティコ陣地でプレーした割合は、前半が53.19%だったが、攻め上がるスペースを得た後半は68.7%まで増加。
徐々に自陣のアタッキングサードへと押し込まれていくアトレティコ。この試合で前半9回、後半9回の計18回のインターセプトを記録したアトレティコだが、前半がハーフウェイライン付近で奪っていたのに対して、後半はほとんどがペナルティエリア内まで下がっていた。
両チームがボールを持ってプレーした位置を示す「アクションエリア」でも、前半はアトレティコ陣地で55.01%だったが、後半からは66.62%まで上昇。チャンスメイク数は12回(バルサ):1回(アトレティコ)、シュート数は15本:3本と前半とは異なり、大幅な差がついてしまった。
そして、63分にはペナルティエリア内まで攻め込んだダニエウ・アウベスのクロスから逆サイドのジョルディ・アルバがシュートを放つと、ボールがスアレスに当たってゴールへ。
さらに74分にはメッシ、スアレスのつなぎからボールを受けたアウベスが入れたクロスにスアレスが頭で合わせて逆転。またしても1点差での勝利を手に入れた。
ただ、ノックアウト方式で重要となるアウェイゴールを手に入れたのはアトレティコ。しかも敗れたとはいえ2点までに抑えたのは大きい。1-2の状態で2ndレグをホームで戦えば、勝ち抜けの可能性はゼロではない。
多くが接戦となる同国対決。このバルサ対アトレティコというカードも例に漏れず2試合を存分に楽しませてくれそうだ。
(文:海老沢純一)
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