新たに取り組む2シャドー熟成のためにも…
香川は、後半戦に入って前半戦とは変わったチーム状況の中でも、改めて自分のプレーをどのように表現するのか、練習から意識的に取り組んでいる。
しかし、試合という実践の場でプレーする時間がどうしても少ない。実践の時間が増えれば、チームの中で技術をどのように活かすのかといった、自分自身のプレースタイルをより「整理」出来てくるところもあるだろう。
もちろん試合での出場時間を十分に得ることが出来ていないのは、トゥヘルの要求に対して十分に応えることが出来ていないからなのだが、試合開始時は堅く閉ざされたバイタルエリアも、時間が経つにつれてスペースが広がってくる。90分間出場したマインツ戦では、香川は73分にゴールを決めた。トゥヘルとしても、90分のトータルで見て、分かるところもあるはずである。
もちろん監督という立場からすれば、BVBのチーム全体としての進歩を考えなければならないので、特定の個人を優先することは難しい。しかし、他でもないトゥヘルが、チームの進化のために後半戦に入ってツー・シャドウに意識的に取り組んでいる。その完成度をいっそう高めるためにも、香川にもう少し時間を与えてみても良いはずだ。
既に2位の座=来季のチャンピオンズリーグ出場権を確固たるものとして、残留争いをする格下のブレーメンが相手であれば、なおのことである。
(文:本田千尋)
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