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テロ一掃し国民を一つに。“平和の象徴”としてのシリア代表。思想違えど同じ旗のためプレーする心は同じ

text by 舩木渉 photo by Wataru Funaki , Dan Orlowitz , Getty Images

「我々シリア人は責任をもってテロリストを追い出さねばなりません」

シリア代表
今年9月に始まる最終予選を勝ち抜けば、シリアにとって悲願のW杯出場を叶えられる【写真:Getty Images】

 ハラビ駐日大使閣下はサッカーに希望を見出している。「シリア全土が大変な状況で、スポーツの情報を手に入れるのは簡単ではありません。それは国内にいようが国外にいようが同じです。私たちに選択肢はありません。ベストを尽くし立ち上がらねばならないのです。

 国の中でも外でも皆戦っています。我々シリア人は責任をもってテロリストを追い出さねばなりません。国際社会全体がテロリスト打倒のため共に戦ってくれています」と力強い口調で語った。

 様々な考えを持つ人々がいても、シリア代表だけは国民全員のためにあるチームということを改めて感じさせる言葉だった。

 ただ結果だけを見て「日本に5点も取られたんだ、弱いじゃん」ではなく、彼らがどんな思いを胸にボールを蹴っていたのか、彼らはどれほど大きなものを背負ってサッカーに打ち込んでいるのか、どんな状況に置かれているのか、目に見えるものの後ろにある本当の意味を見つめることで様々な景色が見えてくる。

 今年9月に始まる最終予選を勝ち抜けば、シリアにとって悲願のW杯出場を叶えられる。日本とも再び相見えるかもしれないが、彼らがシリア国民の「平和の象徴」として、再び国を一つに束ねる大きな力になる日を心から願ってやまない。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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