駐日大使代理が語るサッカーの大切さとは
現在駐日シリア大使代理を務めるワリフ・ハラビ閣下は日本戦の後、「国連の報告ではテロリストたちは100もの国からやってきているといいます。日本も例外ではありません」と指摘し「メディアはその目で見たことを報じないことがあります。人々が対峙しているのは政府だけではないのです。そのことがテロリストを育ててしまっています」と大衆に真実が伝わらないことに憤慨していた。
それでもサッカーがシリア国民にとって重要なものであることを強く主張する。
「シリアの人たちはサッカーが大好きなんです。子供のころからストリートや広場でずっとプレーしています。いまは非常に困難な状況にありますが、それでも人々はスポーツの動向をSNSなどで追っています。悲惨な情勢でもその習慣は続いています。これは非常に重要なことです」
現在国のために身を捧げる選手たちも、政府のために戦う軍人も、革命のために立ち上がった戦士たちも、皆根本は同じところにある。ハラビ閣下は「スポーツが国を一つにする力がある」と信じている。
イブラヒム監督も過去に中東メディア『マスカット・デイリー』で祖国の悲惨な状況を案じ、募る思いを吐露していた。
「ホームに帰りたい。チャンスをくれ。シリアではサッカーが最も人気のあるスポーツ。我々は皆それが恋しくてたまらない。遅かれ早かれ状況が改善され、またホームで試合ができるようになると確信している」
内戦が続くシリア最大の都市アレッポには7万5000人収容のナショナルスタジアムがある。もちろん現在はそこで試合を開催できる状態ではないが、平和になれば代表チームに声援を送るファンで溢れかえるはずだ。
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