テロ事件で試合会場が変わったベルギーの試合
昨年11月13日のテロ事件から数ヶ月が経ち、その後の様子を……と思っていたところの3月22日、ベルギーの首都ブリュッセルで大規模な爆発テロ事件が起きた。
ちょうど国際マッチデーに向けて合宿中だったベルギー代表は、この日の練習を中止して、犠牲者へ追悼メッセージを送った。
ベルギー代表は、11月13日のテロ直後の17日にブリュッセルで予定されていたスペイン戦をセキュリティ上の理由でキャンセルしている。そして今回29日に行われたポルトガル戦も、当初はブリュッセルで予定されていたが、市が「安全を保障するだけの十分な警備は厳しい」として開催を断っていた。
結局リスボンで試合は開催されることになったが、そうでなければベルギー代表はユーロ本戦前の合宿まで、7ヶ月も試合なしで過ごすところだった。
開催国のフランスでの反響も当然ながら大きかった。
すぐに「最悪の場合ユーロの中止も?」というニュースが流れた。だが、マニュエル・ヴァルス首相はラジオのインタビューで「中止することは我々の負けを意味する。テロリストの思う壺だ。このようなスポーツイベントを成功させることが彼らへの意思表示になる」と強く主張した。
安全性を優先すべく無観客試合の可能性を語るメディアもあるが、ユーロ2016実行委員長のジャック・ランベール氏も、UEFAのスポークスマン、ペドロ・ピント氏も、「無観客試合は想定外」とコメントしている。
大会自体の面白みが激減するだけでなく、すでに契約しているスポンサーも無観客試合となれば同じ金額は出さないだろうから、金銭面の問題が浮上する。
同じ理由で、中止や延期も難しい。チケット収入だけでなく、ホテル、レストラン、グッズの売り上げなどからくる大会特需を見越してスタジアムを増改築した開催地も多く、中止になどなったら経済的な損失は計り知れない。
折しもブリュッセルでテロ事件があったその日、フランスではベルナール・カズヌーブ内務大臣、パトリック・カネール都市・青少年・スポーツ大臣、開催地の一つボルドーの担当者らの間でユーロのセキュリティ対策について会合が行われた。