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日本代表 9年前

【識者の眼】ハリル流インテンシティの正体。濃密な8秒間に見えた驚異のスピード・連動性

text by 河治良幸 photo by Getty Images

守備強度を高くした際に生じるカウンターのリスク

長友佑都
前回の最終予選を経験した長友佑都【写真:Getty Images】

 しかしながら、こうしたスピードや攻撃人数の中でチャレンジを繰り返せば繰り返すほど、選手間のイメージは合いやすくなるし、判断の正確性も増していくはず。

 この2分のシーンは象徴的だったが、これに似たプレーが何十回と見られた中で、そこでの狙い、成果、ズレなど具体例をあげたらキリが無いほどだ。

 前半、そうした流れの中で相手のオウンゴールによる1点しか奪えなかったことは課題だ。一方で後半は結果的に4得点をあげたが、全体的に体力が落ち、シリアも前線が攻めのこってロングボールを受ける戦い方に切り替えている状況になった。前掛かりの攻撃を繰り返したために中盤が間延びしており、日本はカウンターを受けるリスクが高くなった。

 相手のレベルが高くなるほど守備の強度が高くなり、前からの守備がはまらなかった時にはカウンターのリスクが高くなる。それだけに、もっと状況判断や精度を高める必要があるし、暑さやアウェイの環境なども想定すれば、勝負としてはときにゆっくり試合を進めるなどゲームコントロールも求められてくる。ただ、そうした部分は次の段階で改善していくものだ。

「監督も攻撃的な守備をどんどんしていこうということでやっているので、今日はそういった部分でいい部分はたくさんあったし、攻撃で良い部分は出せたと思います。ただ、最終予選は甘くない」

 前回の最終予選を経験した長友がそう語るように、一度スタンダードを引き上げたところから、色々な面をどうアジャストして実戦型にしていくのか。ここから先はそのディテールとクオリティが問われていくし、指揮官もそのことは“第二段階”のプランに入れているはずだ。

(取材・文:河治良幸)

【了】

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