ザック時代苦手だった自陣での攻守をいかに向上させるか
ザッケローニ監督のときは敵陣でのプレー水準が高かった。引かれてもそこそこ点をとる力があり、プレッシングも良かった。ボールポゼッションを生かした戦い方はその点では理にかなっていたのだが、ポゼッション型としてはプレスをくぐられたときのカウンターに弱いのが致命的で、さらに押し込まれたときのボール奪取力も低かった。
ハリルホジッチ監督は、ポゼッションよりも強固な守備ブロックを基礎にしようとしている。日本のカウンターアタックは鋭く、ザッケローニ時代にアウェイでフランスを倒したときの1点もカウンターだった。攻撃面での大きな問題はない。ポイントは守備のほうだ。
守備ブロックの強度。それが怪しければ、このプランはまさしく土台から崩れることになる。シリア戦の後半は、ブロックの強度どころか構築すら怪しかった。それでシリアと打ち合った結果、攻撃力と機動力に勝る日本が圧倒したわけだが、最終予選のライバルに同じやり方をするのはかなりリスキーである。
今後、少ない強化日程の中で、ザッケローニ時代に不得手としていた自陣での攻守をどれだけレベルアップできるか。上手くいけば、引かれると点がとれなくて人数をかけすぎる、さらにカウンターに弱いという欠点をさほど露呈せずに乗り切れるかもしれない。
失敗すれば、「ふりだし」に戻ることになるが。
(文:西部謙司)
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