本田をムヒタリヤンのように活かせるか
だが、その意欲が強すぎるあまり、代表ではどっちつかずになりがちだった。こうした問題を解消する意味でも、今回はいい意味で割り切って、本田らに点を取らせるためのアシスト役としての比重を高めてみたらどうだろうか。
本田をドルトムントの同僚ヘンリク・ムヒタリヤンと想定すると、香川も動きやすいかもしれない。ムヒタリヤンもゲームメークと得点の両方をこなせる選手だが、絶好調の今季はブンデスリーガ10点をマーク。
トゥヘル監督もその決定力を押し出そうと躍起になっている。香川がムヒタリヤンと息の合った連携から決定機を生み出すこともあるだけに、そんなイメージでプレーすれば、本田も活きるだろう。
「(ミランと代表で同じ右サイドに入っていても)大きく違うのは、分かりやすく言うと『距離感』。それが明らかに違う。見ている方もそれを意識して見てもらえれば、なんでこんな連動しているのかというのが分かると思う」と本田も語っていたが、彼ら2人を中心に攻撃陣がいい距離感で動かなければ、連動した攻撃は難しい。
もちろん、柏木陽介(浦和)がボランチで出てくれば、香川の攻守のバランスは大きく変わる。原口元気(ヘルタ)が中盤に入った場合もそうだろう。このように周囲のメンバー構成次第のところもあるが、いずれにしても本田・香川の2人がスムーズに連動してこそ、シリア戦の日本代表がスッキリ勝てる。それは確かな事実と言っていい。
(取材・文:元川悦子)
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