2次予選首位通過、そして最終予選へのベストピースは?
清武に不安要素があるとすれば、ケガのリスクを抱えていること。昨年3月のハリルホジッチ体制発足後、彼は初戦となったチュニジア戦(大分)先発出場の後、6月と11月の代表合宿中に右足第5中足骨骨折の重傷を負い、2度の長期離脱を強いられた。
そういう事情もあって、ハリルホジッチ監督も協会も2試合連続先発させるのは苦慮する部分があるはずだ。残り7試合に奇跡のブンデスリーガ1部残留を賭けることになるハノーファーにとっても彼は絶対に必要な戦力だ。山口蛍も「チームには欠かせない戦力なんで」とコメントしていたが、ここで再びケガをするようなことだけは避けなければならない。
とはいえ、清武にしてみれば主力級の本田や宇佐美貴史(G大阪)らとともにプレーする数少ない貴重なチャンス。香川に対しては常日頃から「やっぱりドルトムントとハノーファーではレベルの差もある。ドルトムントで競っている相手は一流の選手ばかりで、ハノーファーの選手と比べると差はある。そこは比べられないと思う」とリスペクトを欠かさないが、いい流れが来ているこの波を逃してはいけない思いもどこかにあるはず。
アルベルト・ザッケローニ監督時代は主力固定で、毎回のようにベンチから試合を見ていた経験があるからこそ、次のロシアこそはスタメンで戦いたいというのが本音だろう。
日本はすでに最終予選進出が決まったものの、最終予選抽選を考えると、第1シードになれる現在のFIFAランク・アジア2位の座から陥落したくない。今後の戦いを優位に運ぶためにも、シリア戦は手堅く勝って、1位通過を果たすことが肝要だ。そのためのベストピースは清武か、香川か。周囲のメンバー構成も考えて熟考の余地がありそうだ。
(文:元川悦子)
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