「純粋な司令塔的トップ下」を求めるなら…
もちろんシュート数27対1、ボール支配率70.9%対29.1%という実力差のある相手だけに、この日1試合のパフォーマンスで全てを評価することはできない。が、それを差し引いても今回の清武の落ち着きあるゲームメーク、パスさばき、左や前へ流れながら他の選手を中に入れる動きなどは、チームの重要な潤滑油になっていた。
後半20分に香川が入ってからは清武が左に移動し、香川がトップ下に入ったが、それまでの時間帯に比べると真ん中でタメや緩急の変化が減った印象だった。吉田のゴールをお膳立てしたCKを含め、リスタートの精度の高さを考えても、「純粋な司令塔的トップ下」を求めるなら、清武を選択すべきではないか。そういう見方が強まるのも自然の流れと言っていい。
「真司は時間があれだけ(25分間)しかなかったし、得点も入ってたし、まだまだこれからじゃないですか。真司もモチベーションが非常に高いんで期待しています。キヨとの競争については、もう1人くらい若い選手が出てきてほしいですけどね」と日本サッカー協会の霜田正浩技術委員長は香川をフォローしていたが、香川が本調子でないのは事実。アフガニスタン戦でもリズムに乗り切れていない様子だった。
2011年にエースンバー10を背負ってからというもの、本当に彼が持てる潜在能力を出し切った試合は、2013年コンフェデレーションズカップ・イタリア戦(レシフェ)など数少ない試合しかない。そういう好不調の波の大きさを踏まえると、シリア戦でどちらをトップ下に据えるかは、判断が分かれるところだろう。