デビュー当初は9番を背負っていたクライフ
ヨハン・クライフは、背番号14のシャツと同義になっている。
背番号10に対してペレやディエゴ・マラドーナがそうであるように、あるいは背番号9に対してアラン・シアラーがそうであるように、オランダ、アヤックス、バルセロナのレジェンドが他の背番号を身にまとうことを想像するのは困難だ。
しかし、キャリア最初の6シーズン、4度のエールディビジのタイトル、2度のオランダサッカー連盟カップのタイトルを獲得し、個人としても多くの賞賛を得ていたクライフの思考の中に、背番号14は存在しなかった。
実際、彼は1964年から1970年までの間、背番号9を身にまとっていた。当時のフットボール界では、1~11の背番号をスターティングメンバーが身につけるよう定められていたのだ。
今やクライフのアイコンと化している背番号14を彼が身につけることになったのは、思いがけない偶然がきっかけだった。
1970年の10月30日、PSVアイントホーフェンと対峙するゲームの前、クライフのチームメイトであるヘリー・ミューレンは、自身が普段着用している背番号7のユニフォームが見当たらなかった。するとクライフは普段使っていた背番号9のユニフォームをミューレンに渡し、予備のシャツが入っていたカゴの中から一番上にあったものを取り出しにいった。
背番号14になったのは偶然だったのだ。