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日本代表 9年前

【識者の眼】ついにハーフナーを活かした日本代表。“高さ”への意識に見せたハリルJの進化

text by 河治良幸 photo by Getty Images

個の特徴を埋没させないために必要なバランス

ヴァイッド・ハリルホジッチ
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

 しかしながら、この時期に本人も周囲も明確に特徴を意識できたことで、より厳しい戦いが予想される最終予選に向けたオプションとして印象付けることができたのではないか。

 もちろんハーフナーが継続的に招集され、毎試合の様に長い出場時間を得るようになれば、所属クラブのデンハーグでもしばしば見せている様に、相手CBを引き付けられるハーフナーを囮に使って周りがグラウンダーで勝負する形や、足下を活かすプレーをアクセントに使うことも有効になりうる。ただ、そうした要素がどんどん出ることでかえって、彼の特徴が薄まれば、限られたFW枠に入れる意味が弱くなってしまう。

 ハーフナーに限らない話だが、チームの方向性を選手全員が共有し、誰が出てもその基本スタイルを実現できること、個人が特徴を発揮することをバランス良く共存させることは簡単ではない。

 しかし、例えばハリルホジッチ監督がブラジルW杯で率いたアルジェリア代表はそうした部分でチームと個人をうまく融合させることで、試合ごとにスタメンを変更し、選手交代を活用しながらグループリーグを突破し、世界王者となるドイツを敗退寸前まで苦しめることができたのだ。

 確かにホームのアフガニスタン戦は、どう戦ってもほぼ100%の勝利が見えていた試合かもしれない。ただ、その中で新しいチャレンジを行い、ハーフナーのようなオプションをテストした中で選手たちがビジョンを共有し、一定の成果を見せたということは、後になって振り返れば大きな意味を持った試合として日本代表の歴史に刻まれるかもしれない。

(取材・文:河治良幸)

【了】

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