核心部分のテストになったとは言い難い
選手、チームともに幅を広げておくのは代表チームの強化として大切なことだ。2次予選が終われば接戦が基本線となる。さまざまな相手、状況に対応できる幅のあるチームが僅差勝負で有利になる。
アフガニスタン戦のテストは悪い結果ではないが、何か決定的な結論を得たわけでもない。
4-4-2はメインにはならない。ただ、4-2-3-1でも柏木をボランチに使えば、攻撃寄りの人選になるのはあまり変わらないのだ。攻勢のゲームで日本の司令塔が有効なのは歴代の代表でも実証ずみだが、最終予選でハリルホジッチ監督がどういうバランスを考えているのかは現時点ではよくわからない。
マイク投入によるハイクロス攻撃も、残り時間10分程度のオプションと考えると、実際に使うかどうかは微妙なところだろう。その時点で3枚目のカードが残っているかどうか、吉田麻也や森重真人を前線に上げるほうが現実的かもしれないのだ。
いくつかの実験を行いつつ、5-0で勝利できたのは文句なしだが、最終予選のテストとしては核心から少し外れていたかもしれない。日本の従来の課題は引いた相手の攻略と、カウンターに対する守備である。ポゼッションで優位というのが前提だ。
引かれると難しいなら、引かれる前に攻め込めばいいのだが、そのときの精度は前半のとおりである。引かれれば司令塔なしでは難しいのも現状。どこにバランスを見つけるのか。カウンターケアという点では、「16メートル以内に侵入させなかった」とハリルホジッチ監督は強調していた。やはり気になるのだろう。
だが、相手がアフガニスタンでは守備力の進歩ははかりがたい。枝葉のテストは良い結果だったが、核心部分はこの試合だけでは何ともいえない。
(取材・文:西部謙司)
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