相手との対応のなかでレフェリーの基準もはかる
再びズバイル・アミリと長友の空中戦になったが、今度は長友が助走を付けて先に跳び上がり、相手の背中に乗る様な体勢でボールを跳ね返した。判定は長友のファウルでアフガニスタンにFKが与えられたが、その後の勝負で長友が優勢を保ったことで、日本は左前方の原口元気を起点に積極的な攻撃を繰り出し、香川真司の先制点を皮切りにゴールを量産した。
「あのプレーで審判のジャッジ、何ていうんだろう……このぐらいだったらファウルを取るというのが分かった。あんまり無理に飛び込まずに、キープされても落ち着いて対応すれば前を向いた時に体を入れればというのは思いました」
試合後にそう語っていた長友。普通に競るディフェンス、強く当たるプレー、その後という風に対応しながら対面する相手に対して存在感を示し、同時にレフェリーの基準もはかる。そうした戦い方は欧州の中でも守備の伝統が色濃いイタリアで経験を積み重ねてきた長友の真骨頂だが、多かれ少なかれ代表クラスのDFなら持っているべき意識だ。
週末のセリエAで、リーグを代表する快速ウィンガーであるエジプト代表MFモハメド・サラー(ASローマ)と壮絶なマッチアップを繰り広げた長友は、「あれだけ速い選手と1対1ができるというのは僕自身すごく嬉しい。相手が速ければ速いほど、うまければうまいほど燃えるタイプ」と目を輝かせながら振り返るが、日本代表として戦うアジア予選はまた違った難しさもある。
「逆に相手が引いて来るから、やりづらいというのは正直ありますけど、僕個人としてはSBの選手はなるべく高い位置を取って、上がるタイミングもそうですけど、高い位置からどんどん攻撃に参加していかないといけないと思います」
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