前半戦とは一変した「状況」
突然の出来事だった。2016年2月6日のブンデスリーガ第20節、アウェイのヘルタ・ベルリン戦で、香川真司がベンチ外となった。
8日付の『キッカー』誌が、ヘルタ戦のレビュー記事を、試合内容ではなく香川がベンチ外となったことを中心に取り扱ったように、この監督トゥヘルの措置はちょっとしたインパクトを残した。
前半戦を振り返ると、リーグ戦に限っても17試合の全てに出場し主力級の活躍を見せていただけに、香川のベンチ外は、誰にとっても驚きを隠せないものだったのだ。
もっとも、ウインターブレイクの終わりに胃腸炎にかかり、初戦のボルシアMG戦は90分間をベンチで過ごしている。続くインゴルシュタット戦は55分で途中交代となる。直近の香川の状態も、芳しいものではなかった。
ヘルタ戦の翌週、8日の会見でトゥヘルは「毎週新しい競争があること」について言及している。後半戦に入るにつれて、カストロ、ライトナー、シャヒンも状態を上げてきた。プリシッチやパスラックといった若手の台頭もある。中盤の争いが激しくなる中で、トゥヘルは「毎週」評価を下す。そのような状況で、トゥヘルと対話を交わした上で、香川はベンチ外となった。
13日のハノーファー戦の後に、香川は「個人的にもこういう状況にまた打ち勝つために、どうしたらいいのかっていうのもまた戦い」と口にした。香川が「こういう状況」と言うように、「状況」は、前半戦とは一変した。
ヘルタ戦のベンチ外は、つまり、安泰はどこにもないということだった。いくら前半戦に活躍しようとも、過去のものとして忘れる必要があった。気付けば周囲の状況は、昨年とはまるで違うものとなっている。