「本能的なサッカー」で日本を強くする
岡崎の言う「型にはまらない」サッカーを実践するのは非常に難しい。それはクラウディオ・ラニエリ監督が指導しようが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が指導しようが同じことで、単に監督が何かを言って生まれるものではない。
チーム全員が全力でプレーし、それが自然に連動すること。岡崎曰く「共鳴する」ことがレスターだけでなく日本代表を強くするためのひとつの方法だ。「みんな遠慮している場合ではないし、監督に要求されてもそれに気を取られすぎて自分の全力のプレーができていなかったら、それはたぶん自分たちは強くなれない。全員が本能的にサッカーできた時に勝手にそれが連動して、それが結果的に日本代表の本当の力だと思う」と将来の理想像もすでにイメージできている。
香川真司、本田圭佑、長谷部誠、西川周作、ハーフナー・マイク…様々なタイプの選手がいる中、短期間で連係を構築しなければならない日本で岡崎は何を目指すのか。それは明確に「ゴール」しかない。
そして「どれだけゴールに近づけるかどうか」をひとつの基準にしている。岡崎は少ないチャンスを確実に仕留めるタイプのストライカーではない。貪欲に愚直にゴールにチャレンジし続け、味方が作ってくれたたくさんのチャンスの一つを歓喜に変える力を持った存在だ。故にチャンスの数やゴールにチャレンジした数なども強く意識している。日本代表を「何か探しながらじゃなくて、思い切ってチャレンジし続けられる場にしたい」。つまり「本能」でサッカーをする場にしたいと考えている。
もちろん今回の代表戦はW杯予選のため、確実に2勝が求められる。その目標を追い求める中で、日本代表はどれだけ「本能的なサッカー」を見せられるか。プレミアリーグで揉まれた岡崎が長い時間をかけて導き出した答えをピッチ上で全員が表現できれば勝利は自ずと見えてくる。
(取材・文:船木渉)
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