遠藤航、初の湘南戦。古巣への“少し遅れた挨拶”
「ワタル! ワタル!」
試合終了後、遠藤航の名前がBMWスタジアムに響いた。彼の名前をコールしたのは、浦和サポーターではなく、湘南サポーターだった。
浦和は敵地で湘南に2-0で勝利した。拮抗した展開が90分続いたが、両チームともに激しくぶつかり合い、そしてともに全力で走った。
地元・戸塚出身で、ユースから湘南でプレーしてきた遠藤は、この冬に浦和移籍という決断を下した。この試合が、彼にとって初めて古巣との対戦である。
「やりにくさは感じなかった。むしろ特徴はみんな分かってるので、DFとしては『こういうプレーしてくるのかな』という予想はつきやすかったと思います。もちろん、気持ちが昂り過ぎて空回りしてしまうこともあると思いますけど、出来るだけ落ち着いて、欲を出さず、変なことは考えないで自分の出来ることを考えてプレーしていたので、今日はそれができたと思う」
遠藤は試合後にそう話した。古巣対決、特にユースから過ごした思い入れのあるクラブとの対戦だったが、彼は良い意味で意識することなく試合に臨むことができたと語っている。
しかし、決して遠藤が古巣への感謝を忘れたわけではない。自ら湘南のサポーターのもとへ向かい、少し遅れた別れの挨拶を告げた。
「移籍して挨拶できていなかったので、気持ちとして挨拶しておかなきゃというのはあった。サポーターのみなさんも拍手で迎え入れていて、やっぱり湘南サポーターのみなさんから改めて愛されてたんだなと感じました」と、感謝の言葉を口にした。
その場から離れてみて、改めて感じる愛情もあるのである。