2点ビハインドで“オールコートプレス”を仕掛けたビジャレアル
そして、統率された4-4-2の守備からカウンターを繰り出すビジャレアルは、確実にバルセロナのゴールに迫っていた。それでもリードを奪ったのはバルサ。それも2点。
まずは20分、メッシのFKからこぼれ球をラキティッチが拾ってネットへ。41分の2点目はネイマールによるPKでの得点となったが、このファウルを誘ったのはメッシのスルーパスだった。
ここまでチャンスメイク数ではバルサの3回に対して4回と、戦術の機能という意味では上回っていたビジャレアルだが、メッシが繰り出した1本のパスによって2点というビハインドを背負わされてしまった。
これもまたリーガの魅力の1つともいえる。高次元の戦術が繰り広げられるピッチで、それを凌駕する個の力も瞬間的に発動される。
ビジャレアルはマルセリーノ監督が退席処分となるなど、パフォーマンスにはそぐわない結果をとなった前半だった。それでも後半に入ると、その戦術レベルはさらに引き上げられる。
前半には引き気味だった重心を前に押し上げることで、プレスの強度を高めてDFラインの裏を狙ったショートカウンターに転じる。この戦術変更をスムーズに遂行し、前半の45分を戦った上で体力的に相当な負担のかかる“オールコートプレス”を実行する選手の頭脳と体力は凄い。
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