早々と決した勝敗。余裕の生まれたBVB
24分、オーバメヤンがミドルシュートをゴールの右上に突き刺した時点で、勝負は決した。トッテナムが逆転でラウンド16を突破するには、ここから5点が必要となる。香川も「上手く先制点をオバのゴールで取れた。まあ、あそこで勝負は決まりました」と振り返っている。トッテナムに5点を奪おうとする気概はなかった。
「あとは上手く、流しながらじゃないですけど、余計な失点をしないように上手くコントロールしながら。まあ、良かったと思います」
精神的には完全に楽になったドルトムントが、ゲームを支配する。そして少しメンタル面で楽になったようだったのは、チームだけではなかったようだ。
35分、トゥヘルがベンチに座って、フンメルスと会話を交わす。トゥヘルに笑顔が少し見えた。もちろん試合を通して見れば、トゥヘルはタッチライン際で厳格な指導をしていることが多い。しかしオーバメヤンの先制からおよそ10分後に見られた笑顔は、まるで荒れた土地に一輪の花が咲いたかのようだった。それもまた、勝負が決まった瞬間だったと言えるのかもしれない。
71分にオーバメヤンが追加点を挙げて、74分にソンフンミンに1点を返されるが、ドルトムントは2-1でトッテナムを下す。2戦合計5-1で、準々決勝への進出を決めた。
ドルトムントがスコア上だけでなく、メンタル面での優位性も見せつけた、17日のトッテナム戦だった。
(取材・文:本田千尋)
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