奇跡の優勝へ。怖さが出た岡崎が漂わせる危険な臭い
この頃の岡崎には危険な“臭い”が感じられた。だがこのタイミングで波に乗り切れなかったために、前節まで7戦連続ノーゴールを強いられ、チームの勝利よりも自身の得点不足を嘆き、フラストレーションを募らせていた。
だが今月5日のワトフォード戦では、まるで異なったトーンでチームの勝利を素直に喜ぶ岡崎の姿があった。
「ここまできたら、チームとしては優勝かチャンピオンズリーグ(CL)は確保したい。俺に関しては1年目で首位での戦いをしているわけで。たしかに、この首位争いのなかで自分が決めれば、ヒーローになれる。でも、こういう立場になるのは仕方ない。だって次、来年もまたチャレンジできるわけだし」
そしてこう続けた。
「ただ、掴みとしてはいい掴みをしていると思うので、自分としては。こんなにゴールとか、多少の強引さとか、ドリブルのコース取りとかで、自分の怖さが出ていると思う。それは本当に、個人的にはちょっとずつのところなので。これでがっくりはしていられない。残り9試合頑張りたい」
常々「(ジェイミー)ヴァーディーやリヤド(マレズ)が得点できなくなった時に流れを掴むことが肝要」といったニュアンスの言葉を使い続け、必要な場面で自分の得点力を発揮したいとも話してきた岡崎。さらに1日のウェストブロムウィッジ戦後には、「決めたときにその流れを掴むというのが、FWとして大事」と述べている。
そしてその2週間後に、待望の今季5点目を奪取した。資金力が圧倒的に少ないスモールクラブが首位を維持し、「現代サッカーでは奇跡」との声も聞かれるレスターの優勝争い。
その中で、日本代表のエースはついに波に乗り、流れを掴み切ることができるのか。そして残り8試合で5得点以上を挙げて目標とする二桁得点到達、さらにクラブ史上初となるリーグ制覇は叶うのか。佳境を迎えたプレミアリーグから目が離せない状況が続く。
(文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 )
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