本田は一歩後退。大揺れミランに副会長も激怒
それでも本田は、チーム最大のビッグチャンスを演出している。左サイドでフリーとなっていた30分、正確にパスを回してエリア手前でフリーとなっていたアンドレア・ポーリに通った。これが素早く逆サイドでフリーとなってたアバーテまで回る。しかしシュートを試みるがバーに当たり、こぼれ球を拾ったアンドレア・ベルトラッチがシュートするが、これもクロスバーに当たった。
繰り返すが、パフォーマンスそのものは悪くなかった。セリエAの公式スタッツによればスプリントで稼いだ距離は1.2kmを超え、しかもスプリントのスピードも33.64kmと両チームを通じ全選手一番のスピードを叩き出していた。
「特性がない」と言っていたわりにはウイングらしい仕事も果たし、またクレバーなパス回しも効いていただけに、ゴール前でチャンスを作りきれなかったことが惜しまれる。チームを勝たせるプレーを本人が追求したいのなら、やはりこういったところでチームを助けて欲しい。その意味では、一歩後退のプレー内容になったといえる。
もっともミラン全体は、一歩後退どころの話ではなく大揺れだ。試合後、冒頭のようなコメントを発したアバーテだけでなく、クリスティアン・アッビアーティらが選手の情けなさにロッカールームで怒りをあらわにしたという。
また試合後にはアドリアーノ・ガッリアーニ副会長が、周囲にも声が伝わるほどの罵倒を携帯電話で聞かされていた様子を目撃されている。「声の主は間違いなく(シルビオ・ベルルスコーニ)名誉会長だろう」と地元記者の一人は言った。果たして、どういう方向に転じていくのだろうか。
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