積極的なエリア内侵入が実った香川の得点
「流動的に動きに変化を加えてやるようには意識していました」と言うように、香川もボールを受けてチャンスを演出する場面が少しずつ出てきている。
33分、少し低い位置ではあるが、フンメルスからボールを受けて左サイドを上がるシュメルツァーにパスを出す。38分には、シャヒンからエリアの手前でパスを受けて、また左のシュメルツァーに大きくサイドチェンジ。そして、そのままエリア内に入っていく。
「両サイドに速い選手が入って、あそこで作れるので、そういう意味では中に入っていくところは求められています」
マインツ戦では、香川のエリア内に入っていく動きが目立ったが、73分のゴールは、その動きが実った形だったとも言えるだろう。ムヒタリアンが左のオーバメヤンへ、オーバメヤンの折り返しを、ロイスがスルー。そして香川が右足で押し込んだ。
しかしロイスが決めた29分の先制点は、カストロの個人技から強引に生まれたものでもある。そう考えると、3バック+2シャドーはまだまだ発展途上の段階と言えそうだ。
しかし、このマインツ戦で重要だったことは、布陣が機能したかどうかではなく、何より勝利したことだったと言えるのかもしれない。
ファンの1人が、試合中に心筋梗塞で天国に旅立った。
その事実が伝わっていったのか、歌声は次第に止み、静かなざわめきがスタジアムを覆った。
そしてゴール裏は、BVBの黄色いタオルマフラーを掲げて「You’ ll never walk alone」を歌う。
君は決して1人で旅立つわけじゃない。
先行くファンに捧げられた、2-0でのマインツ戦の勝利だった。
【了】