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Jリーグ 9年前

「怪物」森本の“約束の地”・等々力。11年ぶりJ1ゴールで覚醒するストライカーの本能

text by 藤江直人 photo by Getty Images

J1通算6ゴール目という意外な実績

 ベルマーレに1点を勝ち越され、敗色濃厚な展開で突入したアディショナルタイム。汚名返上を期す森本の思いがかなう。車屋がファーサイドへ放ったクロスに対して、小林が宙を舞った直後だった。

「モリ(森本)がゴール前でフリーだったのが見えていたので」

 マーカーを吹っ飛ばした小林が祈りを込めてパスをつなげば、ボールウォッチャーになったベルマーレ守備陣の死角を突き、無人のファーサイドへ抜け出した森本が雄叫びをあげる。

「悠君が絶対に折り返してくれると思って走っていったら、いいところボールが来た。最後まで攻撃を貫くスタイルのチームだし、その意味では小さなころから親しみがあったスタジアムで、フロンターレでの初ゴールを決めることができたのは本当によかった」

 腰あたりの高さのボールに対して体を低く沈め、確実に頭でヒットする。勝ち点1をもぎ取る同点弾は、森本にとって2005年10月22日のFC東京戦以来、11年ぶりとなるJ1でのゴールだった。

 いまも保持する数々のJ1最年少記録に、北京五輪やワールドカップ南アフリカ大会代表にも選出された肩書があいまった結果からか。ファンやサポーターの間で、森本の知名度は高い。

 だからこそ、海外におけるプレーが長かったとはいえ、J1の舞台でまだ6ゴールしか決めていない実績が森本に危機感を抱かせる。

「まずはけがをすることなく、コンディションをもっと上げて1年間グラウンドに立ち続けることが絶対条件。去年あまり点を取れなかった分、今年は『やってやる』という思いが本当に強い」

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