消滅した『1-0の勝利』という選択肢
チェルシーは1-0もしくは2点差を付けて勝利することが突破への絶対条件。現在のチェルシーの状況を考慮すれば、チーム力に差のあるPSGに2点差を付けるよりも、少ないチャンスをものにして1-0で勝利することを目指して戦う方が現実的だった。
この『1-0で勝利する』というミッションには二面性がある。当然のことだが、1つは必ず90分で1ゴールを奪うこと、そしてもう1つは失点をしてはいけいなということだ。
ヒディンク監督はこの試合でマティッチをベンチスタートとし、ボランチにはミケルの相方としてセスクを送り込んだ。
1点を奪わなければならない状況で、パス配給能力に優れたセスクを先発させたという意図も見えたが、ボールホルダーに対してタイトなマークでボールを奪取できるマティッチがいれば、ディ・マリアの侵入も防げたはず。
マティッチとミケルで守備を安定させつつ、勝負所でセスクを投入する選択肢もあったのではないだろうか。
しかし、先制点を許したことで『1-0の勝利』という選択肢は消滅し、2ゴールを狙わざるを得なくなった。結果論ではあるが、この1失点目が勝敗を分けた瞬間だったと言える。
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