ピッチ内を自由に動いたPSGの3トップ
PSGの基本フォーメーションは4-3-3。3トップには、右にディ・マリア、左にルーカス、中央にイブラヒモビッチが構えた。
だが、前半のPSGは3トップが自在にポジションを変え、ピッチを自由に使っている。ディ・マリアはボランチの位置まで下がってボールを受け、イブラヒモビッチは左サイドに流れる、それと入れ替わるようにルーカスがCFの位置に移動する、といった具合だ。
前半5分に訪れたPSGの決定機を振り返ろう。中央やや左寄りでパスを受けたルーカスは、中央に向けてドリブルを仕掛ける。この時、本来右ウィングのディ・マリアは最前線のイブラヒモビッチよりも遥かに後方、ボランチのラビオの隣にいた。
ルーカスのドリブルで3人を引き付けると、ディ・マリアはスプリントをかけてDFの裏に走り込み、パスを受けてシュートを放った。これはイバノビッチがクリアして難を逃れるが、PSGの狙いが見られたシーンであった。
そして、PSGの先制点も似たようなケースで生まれている。ディ・マリアはまたもボランチの位置でボールを受けると、中央に向けてドリブルを開始。
これに呼応したイブラヒモビッチが右サイドに流れてボールを受けるが、この時守備の要であるケーヒルはイブラヒモビッチをマークするのではなく、中央のスペースを埋めることを選択した。
その場合、本職ではない左サイドバックで先発することになったケネディがイブラヒモビッチのマークにつかなければならないが、これを怠ってしまう。そのためイブラヒモビッチはフリーでボールを受けることかできた。
得点を挙げたラビオはというと、イブラヒモビッチが流れて生まれたスペースにフラフラと侵入。チェルシーの右サイドバックを務めたアスピリクエタはラビオのマークを目視で確認しているが、イブラヒモビッチの動きに気を取られたばかりに一瞬の隙から背後を突かれてしまい、ゴールを決められてしまった。
チェルシーは、ポジションが定まらないPSGの3トップを捕まえることができず、簡単にエリア内への侵入を許してしまったのである。