1つのサイクルの終焉。そして新たなサイクルの始まり
サッカーにはサイクルがある。ディエゴ・マラドーナを擁したアルゼンチン代表やジネディーヌ・ジダンのいたフランス代表、オズワルド・オリベイラが率いた鹿島アントラーズ、ユルゲン・クロップが高みへ引き上げたドルトムント……あらゆるチームに「いい時」があれば「悪い時」もやってくる。
なでしこも例外ではない。これまでの輝かしい過去が「いい時」だとすれば、現在のような「悪い時」、つまり「サイクルの終焉」がやってくるのだ。
おそらく今の日本女子サッカーは何かを変えなければいけない時期にきている。それは監督であり、選手であり、環境でもあるだろう。様々な要素が考えられる。ピッチ上でプレーする選手たちは死ぬ気で努力して今の地位を確立してきた。そこから一歩ステップを上がる時にあるのだろう。
1つ例を挙げてみたい。多くの女子サッカー選手はトップレベルであろうとアマチュアだ。多くの会社員は8時間働き、男子のプロサッカー選手は1日分のエネルギーを2時間の練習に捧げる。では女子選手はどうだろうか。
彼女たちはアマチュアのため、多くの場合一般企業で他の会社員と同様に働き、それを終えた後に毎日練習へ向かう。そして朝起きて再び仕事に出る。文字通り「休む間も無く死ぬ気で」働いているようなものだ。サッカーだけに集中してすべての力を注げる環境ではない。
中国戦を終え、宮間は言った。「すべてここに懸けてやってきている」と。文字通り選手たちはサッカーのために身も心も捧げている。代表選手となればなおさら強い思いと国の誇りを背負い、期待と重圧に揉まれながら必死でプレーしている。
この現状に理解を示している人間はどれだけいるだろうか。危機感を持っている人間はどれだけいるだろうか。日本女子サッカー界の未来を見て、もっと上のステップへ進むために変えなければいけないことがたくさんある。今回の五輪予選はそれに改めて気づかせてくれた。