合理的で割り切った戦術。10番タイプの香川は…
会見でまた「バイエルンの攻勢に耐え抜くのは非常に難しい」と述べたように、トゥヘルはバイエルンのポゼッションと攻撃力を想定した上で、創造性を外した割り切ったサッカーを選択した。
しっかりとした守備を土台とするソリッドなカウンターで、バイエルンに挑んだのである。つまり、対バイエルンに特化した「戦術上の理由」で、「10番タイプの選手」=香川を「外すしかなかった」。
前半戦にアウェイで行われた試合とは違って、ボアテングからのロングボールを警戒する必要がなかったことも一因だろう。バイエルンがCBにMFキミッヒとSBアラバを配置し、よりポゼッションにこだわらざるを得ないのであれば、ディフェンスは後ろに比重を置いて、選手の特性を活かしたカウンターを仕掛けるという判断は、合理的ではある。
コスタやロッベンのようなドリブラーの存在を考えれば、ショートカウンターを狙って前に比重を置くと、一発で裏を取られる可能性がある。
0-0のドローに終わったことで、トゥヘルの「DFラインに5枚並べる戦術」は、まずまず上手くいったと言えそうだ。トゥヘルは「今日のチームパフォーマンスにはとても満足している」と手応えを感じている。
それでは、今後も香川のベンチ外は続いていくのだろうか。
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