『栄光のトッテナム』が目指す55年ぶりの栄光
28節での零封負けは、ポチェティーノが「普段のサッカーができなかった」と認めた前半の出来の悪さに、ウェスト・ハムのスラベン・ビリッチ監督が「今季最高」とまで言う相手の出来の良さが重なった結果でもある。
同節でスウォンジーに足下をすくわれたアーセナルと、リバプールに完敗したシティの両優勝争いライバルほど酷い敗戦ではなかった。主力の疲れを指摘する声もあるが、肉体の疲労回復に関しては今季プレミアでスタメン平均年齢最年少の若さが味方する。
気になるのは、首位浮上を懸けた一戦に敗れた影響よりも、首位を意識することで自ら招くプレッシャーの影響だ。見た目にパスの精度を欠いたウェスト・ハム戦後、「選手はナーバスだったのでは?」との質問に「ノー、ノー、ノー、ノー」と反応した指揮官は、「そんなはずはない」と心の中で自分に言い聞かせているようでもあった。
トッテナムはリーグ優勝から遠ざかっていても、ファンが「Glory, Glory, Tottenham Hotspur!」と歌い続けてきたクラブ。それが他クラブにすれば鼻につく理由の一つでもあるが、今こそ「栄光のトッテナム」の自負心を前面に押し出して、行く手に「首位」そして「優勝」の2文字が見えたが故のプレッシャーをはね除けるべき時だ。
僅差の優勝争いの中、28節で訪れた52年ぶりの3月首位のチャンスは逃したが、55年ぶりに最終節を首位で終える可能性は残されているのだから。
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