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Jリーグ 9年前

帰ってきた桜の背番号「8」。新主将就任と2列目サイド起用が引き出す柿谷曜一朗の潜在能力

text by 藤江直人 photo by Getty Images

適性ではない2列目右サイドでの先発起用

 セレッソは川崎フロンターレから完全移籍で復帰した杉本健勇と、新加入したブラジル人のリカルド・サントスによる2トップを形成。背後に柿谷と同じく新加入のブルーノ・メゲネウを置いた。

 セレッソとゼルビアは初対戦であり、当然ながら敵地のピッチも初めて踏む。未知の要素が多いなかで確実に勝利をもぎ取るために、セーフティーに試合に入る布陣と戦術を選択したと大熊監督は明かす。

「ちょっとラフでもいいので長いボールを入れようということで、(杉本)健勇を入れて前線の起点を多くした。ただ、相手のストッパーが頑張っていて、前に対して強かった。何度も跳ね返されて起点を作れなかったので、前半の途中から(曜一朗の位置を)変えようとも思ったんだけど、先に動いて失点するのもまずいので、何とか集中して後半勝負でいこうと」

 青写真ではともに身長187cmの長身2トップが落としたボールを、柿谷とブルーノが前を向いて拾うパターンが描かれていた。それが破綻した状況では、必然的に柿谷は攻撃に絡めない。

 前半で放ったシュートは0本。攻め上がってきたゼルビアの左サイドバック土岐田洸平をしぶとくチェックし、ゴールキックに追いやった前半20分のシーンを含めて、むしろ守備面で奮闘し続けた。

 両チームともに無得点で迎えた後半のキックオフからは、サントスをワントップとした4‐2‐3‐1へ移行。杉本が2列目の右へ、柿谷がトップ下へそれぞれ回った。

 ゼルビアに主導権を握られ続けながら、セットプレーから新加入のMF山村和也(前鹿島アントラーズ)がもぎ取った、後半26分の値千金のゴールを最後まで死守した試合後の取材エリア。大熊監督に柿谷の起用法について聞いた。

――2列目の右サイドのほうが、適性があると見ているのでしょうか。

 返ってきたのは、意外な言葉だった。

「いやいや。今日の後半を見ても、ですよね」

 ワントップ、あるいはトップ下に配置され、自由なスペースを与えられた開幕前の練習試合などでは、柿谷は水を得た魚のように生きいきとプレーする。適性はサイドにあらずと、大熊監督も実は認めている。

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