ミスが失点に直結。痛感したJ1の怖さ
ペナルティエリア内では、大井健太郎がシモビッチを監視していた。しかし、目の前に古林将太もおり、ひとりで2枚をマークする状況を作られた。そして、最も警戒すべき選手をフリーで飛ばせることとなった。試合後、大井はあの状況をこう説明する。
「一番大きな選手に自分がずっとついていれば良かったかもしれない。もう少し弱いシュートを飛ばさせることができたかもしれないので。ただ、前にいるフリーの選手が目に入ってしまったので、そっちにズレてしまった。あそこはニアを捨てるかとか、(森下)俊もいたので、俊をつかせるように動かしてやれるようにしないといけなかった」
ひとつのミスがゴールに直結してしまうのがJ1だ。試合前には、名波監督もこんなことを語っている。
「J2だったらずっと押し込んでいる中で、ワンチャンス、ツーチャンスでやられるシーンが何回かあった。でもJ1はさすがにずっと押し込んだとしても、ピンチが2回というわけにはいかない。5回くらいは来るだろうと。そこをいかに凌ぐか」
3年ぶりに立つJ1の舞台では、90分間、自由を謳歌することはできない。指揮官、選手ともにそのことは十分理解していた。そして、手痛いパンチを喰らったことでこのカテゴリーの厳しさを体感することになった。
それでも、この一戦は悲観的な感情のみが支配したわけではない。開始20分は明らかに磐田が試合の流れを掌握しており、決定機が数本あったのも間違いない。教訓だけでなく、自信も持ち帰ることができた。だからこそ、名波監督も「ここから33試合巻き返すチャンスがある。自分たちの良さを出す、やりたいことをやっていこう。下を向かずにやっていこう」と選手たちに声をかけた。
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