トップ下務めるもプレスに苦しんだ香川
まるで“システムの檻”に閉じ込められているかのようだった。2016年2月28日のブンデスリーガ第23節、2位のボルシア・ドルトムントは17位のホッフェンハイムをホームに迎える。
トゥヘルの実験は続く。前半のドルトムントは基本的に4-2-3-1でスタートする。攻撃時には左SBのシュメルツァーが高い位置を取り、CBベンダー、CBスボティッチ、SBピシュチェクで3バックを形成する。バイグルとシャヒンがツー・ボランチを組んだ。
そして時折、トップ下の香川真司の隣に左ウイングのロイスが降りてツー・シャドウ、前線にはオーバメヤンとムヒタリヤンである。
18日のホームでのポルト戦から、シャヒンの復帰とともに突如として始まったこのシステムは、機能したとは言い難かった。ホッフェンハイムの新指揮官ナーゲルスマンは、5-2-3という整った守備を敷いてきた。5バックとツー・ボランチでバイタルエリアを固める。
トップ下の香川は、ボールを受けようと敵のツー・ボランチの両脇のスペースに顔を出す。しかしプレスに苦しみ、ボールを受けたとしても、上手く次の攻撃に繋げることができない。香川は「ボールを受ける前であったり、受けた後に、どうしても迷いがある」と言う。
「バイタルで受けたら、やはり、受けた後の展開だったり、何か違いを求められるポジションなので、そういうことを意識し過ぎている部分はある」
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