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Jリーグ 9年前

ハンド判定を“ミス”と認めた審判委員会の意図。オープンな議論がもたらすリスペクトの姿勢

text by 藤江直人 photo by Dan Orlowitz , Asuka Kudo / Football Channel, Getty Images

再発防止のために最も有効な手段は?

2016シーズンもJ1の主審を務める西村雄一主審
2016シーズンもJ1の主審を務める西村雄一主審【写真:Getty Images】

 こうした見解を受けて、上川委員長は再発を防止するための最も有効な手段として理想のポジショニングと、そこに至る初動をあげた。

 PK判定に至る映像を巻き戻しながら、ガンバの攻撃をしのいだサンフレッチェがパスをつなぎ、ボランチの青山敏弘が左サイドに開いたMF柴崎晃誠へロングパスを出した瞬間を「ここです」と指摘する。

 青山のやや後方、サンフレッチェ陣内のほぼ中央にいた飯田主審の姿が画面から消える。柴崎の外側を柏が追い抜き、PKを獲得するまでの9秒間で最後まで登場することはなかった。

「ここ(青山がパスを出した瞬間)でもっと早く動き出したい。ここでスプリントを使っておけば、家本さんが指摘したポジションへ余裕をもってたどり着けることを含めて、いろいろな準備ができていたかもしれないと考えられます。

 それでも難しいかもしれませんけれども、正しく見極めようとするならば、こうした改善点が必要という話になるわけです」

 スーパーカップから一夜明けた21日には、J1およびJ2の主審を対象とした研修会を実施。試合映像を全員でチェックしながら、飯田主審を含めて、レギュラーシーズンへ向けて問題点を共有している。

「映像を見た感じでは、飯田さんは100%のフルスプリントをしているようにも見えない。もっと行けるんじゃないか、と感じられた方もいるかと思います」

 家本氏は素早い展開に対応した最善の準備が常に必要だと、自戒を込めるように件のシーンを振り返った。翻って西村氏は、海外のリーグと比べて、スライディング時に手を振りあげる選手が少なくない現状を認識する機会ととらえてほしいとこう続ける。

「プレーヤーの方々はこのシーンを見て、レフェリーの腹立たしい判定と思うとともに、リスクをいかにして減らすかというスライディングの技術が求められている問題まで、考えていただけたらいいのかなと思っています」

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