ミスを認めた上川徹審判委員長
カンファレンスの進行役を務めた日本サッカー協会の上川徹審判委員長は、スーパーカップを日産スタジアムのスタンドで観戦していた。
「両手をあげてスライディングにいっているので、ボールが手に当たったんだなと思いました」
微妙な判定だったゆえに、スタジアム内のオーロラビジョンでは件のシーンは再現されていない。もっとも、スタジアムで目の当たりにしたシーンと、映像をスローモーションにして何度もチェックした末に確認された事実は異なった。上川委員長はカンファレンスで、飯田主審のジャッジにこう言及している。
「映像で見ると(丹羽選手の)顔に当たっていますね。ミスなのか、ミスじゃないのかと言えば、レフェリーは顔には当たっていないと思っているのですから、そこの部分は明らかに違います。非常に難しい判定ですけども、ミスはミスです」
現役レフェリー時代には2002年の日韓共催大会、2006年のドイツ大会とワールドカップの舞台で2度主審を務めた実績をもつ上川委員長は、「誤審」という表現を嫌うことでも知られている。人間の目でジャッジすることを原則としてきたサッカーというスポーツは、ミスは起こりうるものと帰結されるからだ。
2012年6月から現職を務めるその上川氏が、カンファレンスという公の場で「ミス」という言葉を使ったのだから、与えた衝撃は決して小さくない。もっとも、決して飯田主審の判断を糾弾するために、ましてや処罰を与えるために、上川委員長は「誤審」を認めたわけではない。
「間違いは間違いだったかもしれませんけれども、なぜ間違いが起こってしまったのかということを、こういうタイミングで皆さんに伝えていくことで、理解が広がっていけばと思っています。間違いが起こることを大前提にしはしていませんけれども、人間の目で見る以上は予測のつかないことも起こりうる。そこを少なくしていかないといけない」