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Jリーグ 9年前

ハンド判定を“ミス”と認めた審判委員会の意図。オープンな議論がもたらすリスペクトの姿勢

text by 藤江直人 photo by Dan Orlowitz , Asuka Kudo / Football Channel, Getty Images

ミスを認めた上川徹審判委員長

JFAの上川徹審判委員長
JFAの上川徹審判委員長【写真:工藤明日香/フットボールチャンネル】

 カンファレンスの進行役を務めた日本サッカー協会の上川徹審判委員長は、スーパーカップを日産スタジアムのスタンドで観戦していた。

「両手をあげてスライディングにいっているので、ボールが手に当たったんだなと思いました」

 微妙な判定だったゆえに、スタジアム内のオーロラビジョンでは件のシーンは再現されていない。もっとも、スタジアムで目の当たりにしたシーンと、映像をスローモーションにして何度もチェックした末に確認された事実は異なった。上川委員長はカンファレンスで、飯田主審のジャッジにこう言及している。

「映像で見ると(丹羽選手の)顔に当たっていますね。ミスなのか、ミスじゃないのかと言えば、レフェリーは顔には当たっていないと思っているのですから、そこの部分は明らかに違います。非常に難しい判定ですけども、ミスはミスです」

 現役レフェリー時代には2002年の日韓共催大会、2006年のドイツ大会とワールドカップの舞台で2度主審を務めた実績をもつ上川委員長は、「誤審」という表現を嫌うことでも知られている。人間の目でジャッジすることを原則としてきたサッカーというスポーツは、ミスは起こりうるものと帰結されるからだ。

 2012年6月から現職を務めるその上川氏が、カンファレンスという公の場で「ミス」という言葉を使ったのだから、与えた衝撃は決して小さくない。もっとも、決して飯田主審の判断を糾弾するために、ましてや処罰を与えるために、上川委員長は「誤審」を認めたわけではない。

「間違いは間違いだったかもしれませんけれども、なぜ間違いが起こってしまったのかということを、こういうタイミングで皆さんに伝えていくことで、理解が広がっていけばと思っています。間違いが起こることを大前提にしはしていませんけれども、人間の目で見る以上は予測のつかないことも起こりうる。そこを少なくしていかないといけない」

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