“できそこないの修繕屋”が歩むシンデレラストーリー
結論をいえば、レスターにやってきたラニエリ監督はチームに大きく手を加えたわけではない。だがそれが奏功し、チームは時流に乗って自信を深めたのは事実だろう。しかしそんな選手たちを調子に乗せたのは、間違いなくラニエリ監督の手腕であり、懐の深さが影響している。
「一人の選手だけではない、チーム全体が頑張ったし良かった」とは、試合後のラニエリ監督の口癖だ。つまらないサッカーを好むかもしれないし、獲得したタイトルの数は少ない。それでも監督歴30年の経験はだてではない。
マンチェスター・シティを破った直後には優勝オッズが2.75まで下がり、ついに本命に押されているレスター。その際には「私はブックメーカーを信用しない。開幕前、『最初に解任されるのはラニエリだ』としていたのを忘れてはいないからな」といたずらっぽく笑った。
“できそこないの修繕屋”と揶揄され続けてきた64歳は、夢のようなシンデレラストーリーを成就させることはできるのか。引き続き、台風の目レスターから目が離せない状況だ。
【了】